深空より愛を込めて

知能型ワンダラーのうめき声

「燃える一線」

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すっっっっっっごく良かった………。

 

以下、感想文です。

 

 

※ネタバレしかありません。

※これまでに登場した他の思念や本編などの内容を含む部分もあります。

 

 

 

まず、そもそものあらすじ文。

「時々、マヒルがもっと普通の生活を送れたらいいのにと思う」

本当にそれ。ため息しか出ない。

 

 

 

「これまで、結果が全てだと思ってた。(中略)ケガしたっていつか治るから」

「でも今日、ビルを降下する前に気付いたんだ。指示を出す人の声が、緊張で変わったことに」

「だから今回、少しでもケガはしないようにしようと思った」

 

これ、すごい大きな変化なのでは…?

それこそ、これまでは、

「危ないことしないで」と言っても、

「結果的には助かったんだからいいだろ」スタンスだったのに、

主人公の心配を汲み取れるようになったってことだよね。

一緒にいたい気持ちはあるくせに、自己犠牲的な考えをやめない(やめられない、のかもしれない)ヒルだからこそ、

この変化の意味合いも、かなり大きいように感じる。

 

ヒルの本編後からの変化は、「2人の関係性が進展した」というより、

「マヒル自身が変わってきたことで、2人の関係性が進展した」という印象。

実際、(最近本編を読み返したからか)再会直後より、かなり丸くなった感じがする。

 

先述の言葉の上で、「ケガしてないよ」と言うのなら、今日は本当にケガしてないんだろうな。

何か、上手く言えないけれど、すごいうれしい。

ヒルのこの言葉を聞けたことが、すごくうれしかった。

 

 

そこに、この追撃。

 

「もし自分のことを考えることができないなら、今日みたいに私のことをいっぱい考えて」

 

拍手。100点満点中5億点。ブラボー。素晴らしい。

 

正直、マヒルの「ここが良くない」を指摘することは難しくない。

他の4人と比べても、ヒルはダントツで未熟で、「誰が見てもダメ」な部分が明示されている人だと思う。(悪口じゃないよ)

だけど、そういう人に対して、「あなたはこういうところがダメだから、直して」と言って、果たして全員が「はい」で直せるかと言ったら、そんなことはない。

そしてできない人の中には、「どうしても体がそうとは動かない」「頭が理解しない」という、本人にもどうしようもないタイプもいる。マヒルはそのタイプの人だと思う。(あくまで個人の想像の域を出ませんが、彼の生い立ちを考えると、そうかなーと)

 

そういう人に有効的な方法の1つが、「論点をすり替えること」だ。

つまり、主人公のこの言葉。

「私があなたを心配だから、ケガしないで」ではなく、

「ケガすると私が困るんだから、ケガしないで」に替える。

しかもこれは、マヒルの元々の性格をよく知っていて、

尚且つ、自分が彼の中でどういう位置にいるのか、というのも、的確にわかっていていないと、なかなか出て来ない言葉だと思う。

もっと言うと、「妹ムーブ」を上手く利用しているようにも取れる。マヒルが「兄」として甘えられることが好きなのも、わかっていて。

 

ウーン、すごい。

マヒ主の主人公って、他と比べても少し幼い感じというか、それこそ「妹」な印象だったけれど、

やっぱり、マヒルが「優しくて頼りになる兄さんだから好き」なんじゃなくて、

ただただ「マヒルだから好き」なんだろうな、と思えた。

だからこそ、こういう発言ができるわけで。

この方向で積み重ねていけば、

ヒルも、いつか主人公に素直に甘えられるようになるんじゃないかな。

 

 

「いつか一緒に達成して、シンプルに幸せな普通の人になれるといいな」

「オレと一緒に、今夜一番普通で一番幸せな人になろう」

 

何となく、今後のマヒ主の目標はこれになってくるのかなと思った。

2人とも複雑な身の上で、今も、特殊な立場・状況に置かれているし。

誕生日思念の冒頭みたいに、艦隊の基地に、「やっほ~」で顔出せるような日が来るといいね。

そんな2人を見るのが楽しみです。